映画「ミスフランスになりたい」は、★5つの映画と思います。
現在、上映中の映画「ミスフランスになりたい」。ひょっとしたら来年のアメリカ・アカデミー賞を獲るんじゃないかと思うくらい、素晴らしい映画でした。
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映画はフランスの作品。性同一性障害の男性が女性としてミスフランスに出場するというものです。
主人公のアレックスは、子供の頃から自分は女性と感じている性同一性障害の男性。男らしさを見せようとボクシングをやっているが、闘争心が無くボクサーとして成功しない。
そんなアレックスは、かねてから憧れていたミスフランスに、男性であることを隠して女性として出場することを決心する、というストーリーです。
ストーリーは無駄がなくテンポよく進みます。
さらに主演のアレクサンドル・ヴェテールの演技が上手い。男性でありながら女性の心を持つ主人公の役を、見事に演じている。女らしいのですが、それでも男性であることがわかる演技です。
アレクサンドラという女性に化けていますが、本当は男性なので、なかなかうまく事が運びません。
たとえば、ミスたちが揃っているところに痴漢男が現れると、他のミスたちは「キャー」と悲鳴を上げて逃げるのですが、アレックスはキョトンとして立っている。
他のミスたちとのガールズトークにも入っていけず、孤立してしまう。
やがて、ホテルで同室だった一人のファイナリストに男性であることを見抜かれてしまいます。
しかし彼女は「一緒にかんばろうね」と言っただけで、それを秘密にしてくれます。
彼女にバレたことで、逆に気が楽になったアレックスは、本来の自分らしさを出せるようになります。ガールズトークにも入っていけるようになり、皆と仲良くなっていきます。
ミスフランスのイベントは、映画の中では舞台装置か大道具の扱いで、むしろミスコンテストそのものは好意的に描かれています。
ファイナリストたちは、皆フレンドリーで感じのいい女性たちばかり。主人公を奇人変人扱いしていた(本当は男性なので当然ですが。)事務局長の女性も、最後には主人公に理解を示すようになります。
ユーモラスな演出もあり、「今年のテーマはエコです!」と言われ、ミスたちはゴミ処理場でポーズを取らされたり。
映画のテーマは、マイノリティが「自分らしく生きていく」こと。
主人公を取り巻く人たちも、フランスに住む外国人や宗教的マイノリティたちで、彼ら彼女らの存在についても描かれていきます。
ミスコンテストに興味がある人も、そうでない人も、見て損しない映画です。おススメですよ。